腸活日記

健康のために腸を中心とした活動の記録

I.腸内フローラの検索法の開発

論文リンク>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim1997/15/2/15_2_57/_pdf/-char/ja

 

光岡 知足 東京大学名誉教授

 


 腸内は多種多様の細菌が互いに共生あるいは拮抗し合う複雑な栄養条件と強い嫌気的条件をもった環境であって,このような環境下で生息する腸内フローラを検索するため,われわれは,検体の採取,輸送,希釈などすべての操作中に細菌が死滅することのないよう留意し,検査材料を10倍段階希釈し,それを非選択培地ならびに選択培地に接種し,各培地を嫌気性または好気性培養し,所定時間培養後,各培地上に発育したコロニーの性状ならびに菌形態によって菌群を同定し,各菌群の菌数を算定するという方法で,腸内フローラの菌群レベルの構成を包括的に調べる手法を開発した(Fig.1)(43,45,55-58).

 

 培地としては4種類非選択培地と10種類の選択培地(Table1)とを併用し,前者によって最優勢菌種を余すところなく培養し,後者によって腸内に少数しか存在しない菌群を選択的に培養する.また培養法としても,高度な嫌気性菌を培養するための方法としてPlate-inbottle法を開発した.

 

 この方法によって,直接塗抹で計数される細菌の約70~80%までの培養が可能となった.最近,微生物生態系に生息する培養できない細菌を含むすべての細菌を,分子生物学的手法によって培養することなしに検出・同定・計数する手法が開発された.


 RFLP(RestrictionFragmentLengthPolymorphism),FISH(FluorescenceinsituHybridization),
DGGE(DenaturingGradientGelElectrophoresis),insituPCR,NestedPCRなど"培養によらない腸内フローラ検索法"が検討された.ミュンヘン工科大学のSchleifer(1),Groningen大
学のWellingら(14)は,DNAプローブによるFISH法に自動顕微鏡画像解析を組み合わせた自動検索システムを開発し,すでに実用の段階に入っている.

 

 また,ニュージーランドのTannockら(33,86)はリボタイビング法およびバルスフィールドゲル電気泳動法により腸内LactobacillusおよびBifidobacteriumの菌株の分布と変動の多様性を報告している.


 わが国においても,ヤクルト・バイオサイエンス研究財団が研究班を組織し,腸内フローラの菌属・菌種特異的プライマーを用いたPCR法による自動検索システムの検討が進められ,まもなく完成の段階にきている.

 

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